鉱物はそれぞれ独自の化学組成をもっているので、化学分析することによって、特定することができますが、これには特別の機器や道具が必要なので、一般では難しいかと思います。
しかし、多くの鉱物にはそれぞれの特徴があるので、それらによって調べることもできます。
色や光沢、晶癖や硬度、比重、条痕色などがそれで、ここでは、そのようなポイントについて紹介しています。
尚、化学組成別の鉱物の分類については、「鉱物の化学組成の分類別検索」のページを参照してください。
結晶系 鉱物の結晶の形は、その対称性によって結晶系と呼ばれるグループをつくっていて、外見に現れる対称性だを見ると、大きく別けて六つに分類されている。 (三方晶系を六方晶系に入れない場合は、7種類) 実際には、小さな結晶が集合して、さまざまな形をなしていることが多いが、どのような形をしていても、鉱物の形は、これらの結晶系が基本となっている。
六方晶系の結晶軸を3本とすると、三方晶系は、ほぼその一部に含まれることになり、対称性が同じになる。 晶癖 「晶癖」とは、鉱物の外観に現れる特徴のことで、主に、次のようなものがある。
硬度 鉱物の硬度は、ふつう「モース硬度計」と呼ばれる基準によって決められている。 モース硬度計は、19世紀の初頭に、ドイツの鉱物学者、フリードリッヒ・モース考案したもので、鉱物同士を引っかきあった際の低硬度によって決められている。 鉱物同士で引っかきあって、傷が付いた方がやわらかいと言う単純なもので、例えば、方解石は石膏を傷つけることができるが、蛍石には傷をつけることができないというようなもので、硬度1〜10まで、次のように基準が決められている。
土状の軟マンガン鉱は硬度2程度だが、大きなしっかりとした結晶では、硬度6程のものもある。 また、衝撃などに対する強度を示すものではないので、鉄よりも硬いものであっても、ハンマーで叩くと砕けてしまうものもある。 比重 質量を体積で割ったものが密度(g/cm3)だが、比重は、1g/cm3の水に対して、同じ体積の鉱物の質量が水の何倍になるかを表したもので、比重が3の鉱物なら、同じ体積の水の3倍の重さがある。 劈開(へきかい) 鉱物は、一定の方向に割れやすい傾向があるが、劈開とは、この性質のことで、「完全」、「明瞭」、「不明瞭」「なし」などと表現するが、劈開が完全なほど、きれいな平面となって、光を一様に反射する。 石英などは劈開がなく、断口が貝殻状や凸凹しているが、雲母は爪などでも簡単に一方向にきれいに剥がすことができるし、方解石などは三方向に劈開がある。 色 鉱物は、その化学組成によって独特の色をもっているので、判別するときの目安になる。 但し、同じ鉱物でも、微量な元素などを含んでいるものは、さまざまな色合いを示すことがあるので、注意する必要がある。 よく知られている石英は無色だが、灰色や帯赤色、黄褐色、黒褐色、紫色など、色の変化が多い。 条痕 鉱物の表面上の色には変化があるが、条痕色は一定しているので、鉱物を調べるときの手がかりとなってくれる。 条痕色とは、鉱物を粉末にしたときの色のことで、一般に、白い素焼きの陶器の板に、鉱物をこすり付けて見ることができるが、硬い鉱物の場合は、同等か、より硬い物質にこすり付けるなどして見ることができる。 透明度 ある鉱物が、光を透すか透さないかの度合いで、ダイヤモンドのように、透かしてものが見えるものを「透明」、光が透ってもものが見えないものは「半透明」、鉱物を薄片にしてもものが見えなければ「不透明」とされる。 光沢 鉱物の表面の反射の具合のことで、透明度や屈折率、表面の性質などによって決まる。
但し、鉱物の光沢は、集合状態などによって変化することがある。 その他の調べ方 以上のほかにも、鉱物にはそれぞれの特徴があるので、それらを参考にして調べることもできる。 磁鉄鉱などは強い磁性をもっているので、磁石などを使って調べることができるほか、蛍石などの蛍光を発するものは、紫外線を当てることによって、赤や青色の光を放つので、これらを参考にすることもできる。 また、電気石などの召電製のある鉱物は、加熱することによって帯電するので、このような性質を利用して調べることもできる。 |