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鉱物図鑑

鉱物の分類と調べ方

鉱物の分類・調べ方



鉱物はそれぞれ独自の化学組成をもっているので、化学分析することによって、特定することができますが、これには特別の機器や道具が必要なので、一般では難しいかと思います。
しかし、多くの鉱物にはそれぞれの特徴があるので、それらによって調べることもできます。
色や光沢、晶癖や硬度、比重、条痕色などがそれで、ここでは、そのようなポイントについて紹介しています。
尚、化学組成別の鉱物の分類については、「鉱物の化学組成の分類別検索」のページを参照してください。

結晶系
鉱物の結晶の形は、その対称性によって結晶系と呼ばれるグループをつくっていて、外見に現れる対称性だを見ると、大きく別けて六つに分類されている。
(三方晶系を六方晶系に入れない場合は、7種類)
実際には、小さな結晶が集合して、さまざまな形をなしていることが多いが、どのような形をしていても、鉱物の形は、これらの結晶系が基本となっている。
等軸晶系(立方晶系)
基本的には六面体の結晶をつくるが、八面体や十二面体のものをつくることもある。  
正方晶系
立方体を細長くしたような結晶をつくる。  

斜方晶系
柱状や板状の結晶が多い。  
単斜晶系
もっとも一般的で、等軸晶系よりは対称性が低い。  
三斜晶系
結晶系の中では、もっとも対称性が低い。  
六方晶系(三方晶系)
結晶軸は4本で、その内3本の長さが等しく、互いに120゚で交わっている。  
また、等軸晶系は「立方晶系」とも呼ばれるほか、三方晶系は結晶軸が3本で、同じ長さの結晶軸が2本で、120°の角度で交わり、後の1本が、この2本に対して90°で交わっている。
六方晶系の結晶軸を3本とすると、三方晶系は、ほぼその一部に含まれることになり、対称性が同じになる。

晶癖
「晶癖」とは、鉱物の外観に現れる特徴のことで、主に、次のようなものがある。
柱状 … 所謂、柱のような形で、断面が一定の形をしているもので、長短がある。
板状 … 柱状よりも平たく、板のような形のもの。
針状 … 細い針のように、先が尖っているようなもの。
刃状 … ナイフの刃のように、鋭い縁をしているもの。
塊状 … 一定の形が見られず、塊になっているもの。
樹枝状… 植物の枝のように見えるもの。
腎臓状… 腎臓に似た形をしているもの。
このほかにも、「緻密」や「ぶどう状」、「繊維状」などの晶癖もある。

硬度
鉱物の硬度は、ふつう「モース硬度計」と呼ばれる基準によって決められている。
モース硬度計は、19世紀の初頭に、ドイツの鉱物学者、フリードリッヒ・モース考案したもので、鉱物同士を引っかきあった際の低硬度によって決められている。
鉱物同士で引っかきあって、傷が付いた方がやわらかいと言う単純なもので、例えば、方解石は石膏を傷つけることができるが、蛍石には傷をつけることができないというようなもので、硬度1〜10まで、次のように基準が決められている。
1   滑石
2   石膏        (手の爪 2.5)
3   方解石       (10円硬貨 3.5)
4   蛍石        (釘 4.5)
5   燐灰石       (ガラス 5.5)
6   正長石       (ナイフ 6)
7   石英
8   トパーズ(黄玉)
9   コランダム(鋼玉)
10 ダイヤモンド
但し、モースの硬度計は相対的なものなので、硬度には幅がある。
土状の軟マンガン鉱は硬度2程度だが、大きなしっかりとした結晶では、硬度6程のものもある。
また、衝撃などに対する強度を示すものではないので、鉄よりも硬いものであっても、ハンマーで叩くと砕けてしまうものもある。

比重
質量を体積で割ったものが密度(g/cm3)だが、比重は、1g/cm3の水に対して、同じ体積の鉱物の質量が水の何倍になるかを表したもので、比重が3の鉱物なら、同じ体積の水の3倍の重さがある。

劈開
(へきかい)
鉱物は、一定の方向に割れやすい傾向があるが、劈開とは、この性質のことで、「完全」、「明瞭」、「不明瞭」「なし」などと表現するが、劈開が完全なほど、きれいな平面となって、光を一様に反射する。
石英などは劈開がなく、断口が貝殻状や凸凹しているが、雲母は爪などでも簡単に一方向にきれいに剥がすことができるし、方解石などは三方向に劈開がある。


鉱物は、その化学組成によって独特の色をもっているので、判別するときの目安になる。
但し、同じ鉱物でも、微量な元素などを含んでいるものは、さまざまな色合いを示すことがあるので、注意する必要がある。
よく知られている石英は無色だが、灰色や帯赤色、黄褐色、黒褐色、紫色など、色の変化が多い。

条痕
鉱物の表面上の色には変化があるが、条痕色は一定しているので、鉱物を調べるときの手がかりとなってくれる。
条痕色とは、鉱物を粉末にしたときの色のことで、一般に、白い素焼きの陶器の板に、鉱物をこすり付けて見ることができるが、硬い鉱物の場合は、同等か、より硬い物質にこすり付けるなどして見ることができる。

透明度
ある鉱物が、光を透すか透さないかの度合いで、ダイヤモンドのように、透かしてものが見えるものを「透明」、光が透ってもものが見えないものは「半透明」、鉱物を薄片にしてもものが見えなければ「不透明」とされる。


光沢
鉱物の表面の反射の具合のことで、透明度や屈折率、表面の性質などによって決まる。
ダイヤモンド光沢 
 透明感があって、光の屈折率も高いもの。ダイヤモンドや錫石など。
ガラス光沢
 透明感があり、ガラスのような光沢を示すもので、石英や輝石など。
樹脂光沢
 透明感は低いが、プラスチックのような光沢あるもの。硫黄など。
脂肪光沢
 わずかに透明感があり、樹脂のような輝きがあるもの。鶏冠石など。
金属光沢
 透明感はないが、金属のような輝きがあるもので、磁鉄鉱や赤鉄鉱など。
真珠光沢
 雲母や滑石などの、真珠のようにやわらかい輝きがあるもの。
などがあるが、微小な結晶の集合を、絹糸光沢、土状光沢などと呼ぶこともある。
但し、鉱物の光沢は、集合状態などによって変化することがある。

その他の調べ方
以上のほかにも、鉱物にはそれぞれの特徴があるので、それらを参考にして調べることもできる。
磁鉄鉱などは強い磁性をもっているので、磁石などを使って調べることができるほか、蛍石などの蛍光を発するものは、紫外線を当てることによって、赤や青色の光を放つので、これらを参考にすることもできる。
また、電気石などの召電製のある鉱物は、加熱することによって帯電するので、このような性質を利用して調べることもできる。

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