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鉄電気石

 
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名称 鉄電気石 (てつでんきせき)
英名 Schorl (ショール)
分類 珪酸塩鉱物
化学式 NaFe3Al6(BO3)3Si6O18(OH)4
結晶系 三方晶系
硬度 7.5
比重 3.1〜3.2
劈開 なし
断口 亜貝殻状〜凸凹
条痕 無色〜淡褐色
黒色〜黒褐色、緑黒色、青黒色
光沢 ガラス光沢


電気石は花崗岩やペグマタイト、変成岩の一部などに生成する珪酸塩鉱物で、複雑な成分から30種類以上に分類されている。
石英や長石、ジルコン、緑柱石など、ほかの多くの鉱物と共に産出し、透明で美しいものは装飾用に利用され、Tourmaline(トルマリン)とも呼ばれている。

鉄電気石は鉄とナトリウムを含む電気石で、ほかの電気石と同様、花崗岩や花崗岩ペグマタイトなどの副成分鉱物として産出するほか、高温熱水脈や接触変成岩中などに生成する。

電気石の中でもっとも産出量が多く、黒色から黒褐色、緑黒色などの柱状や針状の結晶をつくり、放射集合体が多いが、時に塊状のものなども見られる。
また、柱状結晶の柱面には条線が見られ、ガラス光沢がある。
断口は亜貝殻状や凸凹をしていて、酸には溶けない

名前のように電気をよく通す性質があり、加熱すると柱状結晶の両端で+と−に帯電し、紙片なども吸い付ける。
この帯電現象を「焦電性(焦電気)」と言うが、焦電性が生じるのは、結晶の上端と下端の形状が異なっている異極晶の鉱物に限られていて、電気石は異極鉱斧石類などのように異極晶になっている。

また、電気石は加熱のほか、摩擦や圧力をかけても帯電する。
但し、圧力で帯電する効果は「圧電気(ピエゾ電気)」と呼ばれ、これは結晶の非対称性から生じるもので、石英など異極晶になっていない鉱物でも発生する。

このほか鉄電気石は、ホウ素の重要な鉱石としても利用されていて、ホウ酸は洗浄剤や耐熱ガラス、害虫駆除などさまざまに用いられている。
また、近年では、電気石の特性を利用して、健康用アクセサリーなども開発されている。

このほか、英名の「Schorl」の謂れははっきりとしないが、かつてある種の産状に見出される黒色柱状の結晶を指していたと言われていて、斧石などを含め、多数の鉱物が Schorl と呼ばれていた経緯がある。

尚、写真のものは、大分県緒方町(現・豊後大野市緒方町)尾平鉱山(閉山)産出のもので、針状結晶の放射状集合が見られる。

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