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鉄礬柘榴石

 
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名称 鉄礬柘榴石 (てつばんざくろいし)
英名 Almandine (アルマンダイン)
分類 珪酸塩鉱物
化学式 Fe3Al2(SiO4)3
結晶系 等軸晶系
硬度 7〜7.5
比重 4.1〜4.3
劈開 なし
断口 貝殻状〜凸凹
条痕 白色
赤色や赤褐色、黒褐色など
光沢 ガラス光沢〜樹脂光沢


鉄礬柘榴石は、柘榴石の仲間の中ではもっとも普通に見られる鉱物で、花崗岩ペグマタイトや片岩などの広域変成岩、安山岩などのほか、高温熱水脈などにも幅広く産出する。

色は、鉄とアルミニウム(鉄礬)が主成分であるため、赤色や赤褐色、黒褐色のような色合いで、透明から半透明で、ガラス光沢や樹脂光沢がある。

結晶は等軸晶系で、十二面体や偏菱十二面体、二十四面体や偏菱二十四面体などの結晶形をつくることが多く、直径10cmを超える大きな結晶をなすこともある。
塊状や粒状、緻密などで産出することもあるが、劈開はなく、断口は凸凹から貝殻状をしている。
また、酸に溶けないが、熱には溶融しやすい。

鉄礬柘榴石は、ヤスリや研磨剤などに利用されるが、良質で美しいものは苦礬(くばん)柘榴石(Pyrope)などと共に装飾用に利用されることがある。
しかし、宝石としては、かつて程珍重されておらず、ガーネット(柘榴石)として、宝石店で見られることはほとんどなくなっている。

ところで、柘榴石の仲間は理想的な化学組成をもっているものが極めて少なく、ふつうは他の種類の成分を含む固溶体となっていることが多い。
これによって色に変化が現れ、灰礬(かいばん)柘榴石(Grossular)などは無色から白色や黄色、黄緑色や緑、褐色や赤色、オレンジ色、灰色や黒色など、さまざまな色のものが見られる。
鉄礬柘榴石の場合、苦礬柘榴石の成分と固溶体を形成していることが多く、鉄の一部がマグネシウムと置き換わっていることが多い。

また、鉄礬柘榴石と苦礬柘榴石、満礬(まんばん)柘榴石(Spessartine) とは連続固溶体をつくることがあり、これはパイラルスパイト(Pyralspite)と呼ばれている。

この他、鉄礬柘榴石は、英名のまま「アルマンディン」や「アルマンダイン」、「アルマンディン柘榴石」などとも呼ばれることがあるが、「Almandine」は、現在のトルコ・アナトリア地方南西部にあった古代の地方都市・アラバンダ (Alabanda)に由来するとされていて、かつてはここで柘榴石の加工が盛んであったことから名付けられていると言われている。

尚。写真は、茨城県高萩市大能産のもの。

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