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赤鉄鉱

 
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名称 赤鉄鉱 (せきてっこう)
英名 Haematite (ヘマタイト)
分類 酸化鉱物
化学式 Fe2O3
結晶系 三方晶系
硬度 5.5
比重 5.3
劈開 なし
断口 貝殻状〜凸凹
条痕 赤褐色
鉄黒色、黒褐色、銅灰色、黒色、赤褐色など
光沢 金属光沢

赤鉄鉱は、火成岩の空隙や、熱水変質岩や熱水鉱脈、スカルン鉱床などに産出し、変成岩の中に大規模な層状をつくることもある。
火山の噴気孔などにも産出し、結晶は卓状や菱面体をしているが、錐状や柱状のものをつくることもある。

円柱状や繊維状、塊状やぶどう状、鍾乳状、葉片状、粒状など、赤鉄鉱はさまざまな形で産出するが、卓状結晶がバラの花弁のように集合しているものは、「アイアン・ローズ」、腎臓状のものは「腎臓鉱石」、薄い板状の結晶で、結晶面が鏡のような光沢をもつものを「鏡鉄鋼」などと呼ぶこともある。

色は鉄黒色をしているが、褐色を帯びたものや茶色、明赤色や赤色、赤褐色などのほか、銅灰色や黒色のようなものまで見られる。
しかし、条痕はいずれも赤褐色で、不透明で、金属光沢から鈍い光沢があり、断口は貝殻状から凸凹をしている。

一見すると磁鉄鉱に似ているが、磁鉄鉱はふつう強い磁性をもっているので、多くの場合、磁性の有無で判別することができる。
また、赤鉄鉱を熱すると弱い磁性を示すものも見られるが、磁鉄鉱の条痕色は黒色をしているので、磁性が見られる場合は条痕色によって見分けることができる。

これに加え、赤鉄鉱の中でも、磁赤鉄鉱と呼ばれるものは強い磁性をもっているが、条痕はチョコレート色をしているので、やはり磁鉄鉱との判別が可能である。
この磁赤鉄鉱は、赤鉄鉱とは結晶の形が違う同質異像の関係にあり、いずれも化学組成はFe2O2だが、赤鉄鉱は三方晶系、磁赤鉄鉱は等軸晶系に属している。

赤鉄鉱は、磁鉄鉱や磁赤鉄鉱、褐鉄鉱など共にもっとも重要な鉄鉱石のひとつとして利用されているが、結晶質の美しいものは、「黒ダイヤ」として装飾用に利用されている。
また、微細な粉末は鮮やかな赤色で、この粉末は「紅がら格子」の「紅がら」で、顔料としても用いられている。

このほか、英名の 「Hematite」は、ギリシア語の「haima (血の意)」に由来していると言われているが、これは、粉末化した赤鉄鉱が赤い色をしているからとされている。

尚、写真は岩手県和賀郡和賀町・仙人鉱山産出のもので、現在は閉山されているが、仙人鉱山では、銅や鉛、亜鉛なども採掘されていた。

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