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硫黄 (自然硫黄)

 
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名称 硫黄・自然硫黄 (いおう・しぜんいおう)
英名 Sulfur (サルファー)
分類 元素鉱物
化学式 S
結晶系 斜方晶系
硬度 2
比重 2.0
劈開 なし・底面に不完全
断口 貝殻状〜凸凹
条痕 白色
黄色から黄褐色
光沢 樹脂光沢

硫黄(自然硫黄)は、火山の噴火口や温泉地帯に広く生成するが、日本は火山が多く、火山活動の活発なところでは、マグマと共に上がってくる硫黄を含む蒸気が、地表で冷やされて晶出する硫黄の結晶がよく見られる。
斜方晶系で、ふつう卓状と両錐状の結晶をつくるが、塊状や粉末状、皮殻状、鍾乳状などのものも見られる。
また、噴気から昇華する場合は、空隙で自由に成長するため、比較的大きな結晶をつくる。

色は黄色から黄褐色だが、不純物を含んでいるものは灰色や緑色を帯びている。
条痕は白色で、透明から半透明で、樹脂光沢がある。

断口は貝殻状で凸凹していて、硬度は低く、爪で傷つけることができる。
また、硫黄は低温で溶融し、熱すると青い炎をあげて燃え、二酸化硫黄を発生させる。

硫黄は硫酸の原料として化学工業に利用されているほか、製紙や精糖、医薬品の原料やゴムの製造、農薬や染料、漂白剤、マッチや火薬など、その用途は幅広い。
しかし、現在、国内の硫黄鉱山はすべて閉山されていて、硫黄は天然ガスや石油から回収されるものがほとんどとなっている。

ところで、硫黄の結晶は、ふつうは斜方晶系をしているが、95.3℃以上に熱すると単斜晶系に変化する。
また、単斜晶系の硫黄を95.3℃以下に冷やすと、斜方晶系に変化する。

このような鉱物を「同質異像鉱物」と呼ぶが、よく知られているのが、ダイヤモンドと石墨で、いずれも炭素からできているが、ダイヤモンドは等軸晶系、石墨は六方晶系と、結晶の形が異なっている。
また、方解石(六方晶系)と霰石(斜方晶系)も化学組成はCaCO3だが、霰石を400℃で加熱すると方解石に変化するほか、等軸晶系の黄鉄鉱と斜方晶系の白鉄鋼なども、いずれも化学組成はFeS2だが、白鉄鋼は450℃以上で黄鉄鉱に変化する。

このほか、一般に「硫黄臭」と言われている刺激臭だが、元来、硫黄は臭気を出すことはない。
この臭いは、自然硫黄が見られる噴火口や硫黄泉の周囲などでは、硫黄化合物である硫化水素や二酸化硫黄が多く発生し、これらに刺激臭がある。

写真は、秋田県鹿角市・後生掛温泉産出のもの。
尚、硫黄の英名・Sulfur は、ラテン語の「燃える石」に由来していると言われている。

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